パワハラの定義とは?
パワハラ上司を生まないために企業がすべき対策

パワハラを受けたとして企業を訴えた社員に多額の賠償金が支払われた、という報道を見たことがある方 も多いでしょう。会社側の行為がパワハラに該当するか否かの判断が難しい場合もありますが、パワハラ は個人と会社の双方に大きなダメージを与えてしまうことに変わりはありません。 パワハラを防止するため、企業はどのような対策を取る必要があるのでしょうか。
◆パワハラの定義
パワハラとは、パワー(権力)ハラスメントの略称です。ハラスメントとは、状況や行為者の意図にかか わらず、相手に不利益や損害を与えたり、個人の尊厳や人格を侵害したりする行為です。 企業においては、上司による部下へのハラスメント行為が、パワーハラスメントの大部分を占めます。
◆パワハラと捉えられる行為

パワーハラスメントと認識される行為のタイプとしては、以下のケースがあります。ただし、実際にパワーハラス メントに該当するかどうかは個別に判断することが必要 です。
・身体的な攻撃
暴行や傷害を与えることです。明らかな暴力行為であるため、厳しく処分します。
・精神的な攻撃
暴言を吐いたり、侮辱する内容の発言をすることにより、精神的な苦痛を与えることです。脅迫まがいの 行為をすることもこのタイプに当てはまります。言葉によるハラスメントであるため、パワハラに該当す るか否かの判断は容易ではありません。
・人間関係からの切り離し
無視したり仲間外れにしたりすることです。上司から部下に対するパワハラだけではなく、部下が業務命 令を無視するなど、部下から上司に対するパワハラもあります。・過大な要求
業務上明らかに不要なことや、遂行不可能な業務を強制することです。要求に従わなかった、あるいは達 成できなかった場合に暴言を吐いたり、ののしったりするパワハラが続くことが多くあります。・過小な要求
業務上合理性がない、能力・経験とかけ離れた程度の低い仕事を命令する、または仕事を与えないことで す。例えば、担当部署ではないにもかかわらず、毎日社内の掃除ばかりを命じることはパワハラに該当す る可能性があります。・個の侵害
個人的なことに過度に立ち入る場合も、パワーハラスメントと捉えられることがあります。セクシャルハ ラスメントと同様、受けた側の感情によってパワーハラスメントになるかどうかの線引きが難しくなりま す。◆パワハラを予防するための対策

パワハラを予防する上で最も重要なポイントは、パワハ ラを許さないという方針を明確に打ち出すことです。
・実態を把握する
実態を把握するためには社員に対するアンケートが有効です。「個人の秘密を他の社員に漏らさない」と 約束し、社員に正直にアンケートに答えてもらうことが大切です。
・社内方針を示す
パワーハラスメントはあってはならないことを、社内方針や倫理規則に含めます。
・ルールを決める
予防や解決についてのガイドラインを作成します。また、就業規則にパワハラの項目を設けたり労使協定 を結んだりすることにより、パワハラに対する意識を高めることができます。
・教育・周知する
研修を通じてパワーハラスメントの定義の説明や実例を紹介します。また、パワハラが発生した場合の人 事的な処遇を伝えることにより、具体的なイメージを持たせることも重要です。
・相談窓口の設置
専門の窓口を設置する余裕のない企業では、人事部内にパワハラについて相談できる担当者を配置する ことでも良いでしょう。いずれの場合も、セクハラ相談と同様に、個人の秘密を厳守することが大切です。 社員が相談しやすいように外部の専門機関を利用することも1つの方法です。
◆おわりに
パワーハラスメントは被害を受けた社員に精神的・肉体的苦痛を与えるだけでなく、会社と社員との間に 深い溝を生んでしまいます。そのため、パワハラが起こらない社内環境を整えることが必要です。 また、パワハラが行われていることが判明した場合に、早急に解決できるような体制づくりが求められま す。