職場活性化に有効?社内通貨の活用は社内改革につながるのか

最近、会社の内部で使える「社内通貨」が注目され始めています。社内通貨を導入することで、社員のモチベーションの向上やコミュニケーションの活性化が期待されているのです。今回は社内通貨とは一体どのようなものかをご紹介します。
社内通貨とは
「社内通貨」とは、企業が発行する、社内でのみ使える通貨のことで、導入する企業が徐々に増えています。紙幣の形をしているものもあれば、システムで管理される仮想通貨タイプのものもあります。
社内通貨の目的は、社員のモチベーションの向上や社内コミュニケーションの活性化などです。お礼をしたいときに社員同士で贈り合ったり、会社に貢献したときに会社から社員へ贈ったりというような形で使われています。
社内通貨の導入で社内の雰囲気が良くなったり、資格取得者が増えたりするなどの効果が見られます。社内改革に取り組みたい企業におすすめの制度です。
実際に使われている社内通貨の例
現在、さまざまな企業で社内通貨が使われています。実際に使われている社内通貨には、どのようなものがあるのかご紹介します。
「Will」(株式会社ディスコ)
半導体切断装置メーカーの株式会社ディスコは福利厚生に力を入れており、厚生労働省が創設した「働きやすく生産性の高い企業・職場表彰」の第1回最優秀賞(2017年)に選ばれています。同社で良好な社内環境作りに貢献しているものが社内通貨「Will」です。
Willを貯めるには、さまざまな方法があります。例えば、業務改善活動のプレゼンテーションで事務作業の削減や納期短縮といった取り組みをアピールすると、評価に応じてWillがもらえます。貯めたWillは会社の福利厚生施設の利用に使えるだけでなく、賞与にも連動しているため、社員の自主性とやる気が自然と引き出される仕組みです。
「Oron」(株式会社オロ)
自社開発のクラウドERP(統合基幹業務システム)販売とWeb関連サービスの提供を行っている株式会社オロでは、社内通貨Oronが発行されています。Oronは、社内のコミュニケーションを活性化させる目的で2012年に導入されました。
各社員に毎月3 Oronが支給されます。Webサービスを通して他の社員に贈ることで、感謝の気持ちを伝えるシステムです。貯まったOronはルームシューズ・ブランケット・ロゴ入りオリジナルグッズなどと交換でき、社員のモチベーション向上につながっています。
「ビジットコイン」(株式会社サイトビジット)
オンライン資格講座のサイトを運営している株式会社サイトビジットでは、2017年3月から「ビジットコイン」を発行しています。導入のきっかけは、会社の規模拡大に伴うコミュニケーションの希薄化でした。
ビジットコインは、企業の行動指針に沿った行動をしたり、資格を取得したり、月ごとの個人目標を達成したりすることでもらえます。貯まったコインは、ディズニーペアチケットや有給休暇1日分といった特典と交換できます。より多くの社員がビジットコインを獲得できるように獲得条件を広げるなど、現在も進化中のシステムです。
社内通貨を導入するメリット
社内通貨を導入するメリットは、さまざまなタイプの社員が評価されるようになることです。売り上げと直結する営業成績と比較して、事務作業の削減や納期短縮のような取り組みは評価されない場合が少なくありません。しかし、社内通貨を付与することで、そのような取り組みが公正に評価されるようになります。
また、社内の雰囲気の改善にもつながります。社内通貨を導入している企業の中には、社員同士でコインを贈り合っているところもあります。一人一人の社員がお互いを評価する立場になるため、同僚の長所に気付くようになるのです。
さらに、社員のスキルアップの効果も期待できます。例えば、資格取得者や講習会主催者に通貨を付与する仕組みがあれば、モチベーションを上げられます。実際に社内通貨を導入したことで、資格取得者が増えた会社もあります。
おわりに
社内通貨は、社内コミュニケーションの活性化や、社員のモチベーションアップに役立つシステムです。現在では、多くの企業が社内通貨の導入で職場環境の改善を実現しています。社内改革の必要性を感じる場合は、社内通貨の導入を検討されてはいかがでしょうか。